ハードウェアエンジニアになるには?【未経験からの完全ガイド】年収・資格・転職方法を徹底解説
2025.11.06
スマートフォンや家電製品の「中身」を設計する仕事に興味はありませんか?
ハードウェアエンジニアは、私たちの生活を支える技術の最前線で活躍する職業です。
この記事では「ハードウェアエンジニアになるには?」をテーマに仕事内容や年収、必要な資格などの基本情報を整理していきます。合わせてやめとけと言われる理由や、転職成功の秘訣など踏み込んだ情報も解説します。
ハードウェアエンジニアに興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
【この記事を読むと分かること】
- ハードウェアエンジニアに必要な資格・スキル
- ハードウェアエンジニアがやめとけと言われる理由
- ハードウェアエンジニアの転職成功の秘訣
目次
ハードウェアエンジニアの仕事内容とは?基本から解説
ハードウェアエンジニアとは、ハードウェア機器の設計・開発を行うエンジニアのことです。パソコンやスマートフォン、電化製品などの物理的な機械や電子回路を作ります。
ここからはハードウェアエンジニアはどういった業務を担っているのか、仕事内容について詳しく紹介していきます。
回路設計
ハードウェアエンジニアは、電子機器が正しく動作するために必要な電子回路を設計します。製品に求められる機能を満たす回路を作ることが主な役割です。
使用する部品や接続方法について、ハードウェアエンジニアの専門知識を活かして設計していきます。機器の性能や消費電力、安定性などさまざまな要素を考慮し、最適な回路を構築することが求められます。
また回路設計後に、シミュレーションツールを使って動作確認を行うことも、大切な業務のひとつです。
プリント基板設計
プリント基板設計は、回路設計で作成した図面をもとに行われます。プリント基板は、電子部品を固定し、電気的に接続する重要な役割を担っています。
基板設計用のCADを使って、電子部品の配置や銅箔パターン(配線)を設計していきます。基板のサイズや信号の伝達速度、製造コストなどさまざまな条件をバランスよく考慮する必要があります。特に配線作業では、高い精度と緻密な設計が求められるため、設計者の工夫や経験が大きく影響します。
テスト・検証
回路や基板を設計した後、これらが正しく機能するのか確認する必要があります。試作の基板を使って、耐久性や安定性などのさまざまな評価を行います。例えば環境試験やストレス試験を行うことで、製品の信頼性の高さを確保することができます。
不具合や誤作動が見つかった場合、原因を解析して設計者にフィードバックを行い、改善を図ります。こういったテストを量産前に行うことで、不良品の製造を防ぐことができます。
ハードウェアエンジニアとソフトウェアエンジニアとの違い
ハードウェアエンジニアは、パソコンや家電製品などの物理的な機械を設計・開発する仕事です。製品の「かたち」や「しくみ」を作る役割を担っており、電子回路の知識やCADツールの操作スキルが求められます。
一方でソフトウェアエンジニアは、コンピュータや機械を動かすアプリケーションやソフトウェアを設計・開発します。機能の実装やデータ処理など「動き」の部分を作り上げるのが主な仕事です。PythonやJavaなどのプログラミング言語に加え、アルゴリズムやシステム設計への理解も重要です。
ハードウェアエンジニアの平均年収は?
ハードウェアエンジニアの平均年収は522.0万円というデータがあります。ソフトウェアエンジニアや日本の平均年収と、以下の表で比較しました。
| 職業 | 平均年収 |
|---|---|
| ハードウェアエンジニア(※回路設計) | 522.0万円 |
| ソフトウェアエンジニア | 514.0万円 |
| 日本の平均 | 478.0万円 |
参考:求人ボックス|ソフトウェアエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
参考:国税庁|令和6年分民間給与実態統計調査
ハードウェアエンジニアは、日本の平均年収よりも44.0万円、ソフトウェアエンジニアよりも8.0万円高い水準です。年収差は大きくはないものの、専門性の高い職種であり、経験やスキル次第ではさらに高い報酬が期待できる分野です。特に回路設計などの領域では、技術力が評価されやすく、安定したニーズがあるのも特徴です。
年収を上げる方法とキャリアパス
ハードウェアエンジニアとして年収を上げるためには、向上心を持って知識やスキルを磨き続けることが大切です。必須の資格はありませんが、関連資格を取得することで、より高度な業務を任されるチャンスが広がります。転職や昇進の際にも、資格は強力なアピール材料になります。
また、実務経験を積むことも年収アップにつながる重要な要素です。設計業務やトラブル対応などを通じてスキルが深まり、専門性の高い仕事を任されるようになることで、自然と評価も高まります。
ハードウェアエンジニアのキャリアパスは多様です。マネジメント職としてチームリーダーやプロジェクトマネージャーを目指す道、技術を極めてスペシャリストとして活躍する道、さらにはソフトウェア開発など他分野へのキャリアチェンジも可能です。将来の選択肢を広げるためにも、日々技術を磨いていくことが重要です。
ハードウェアエンジニアに必要な資格とスキル
ハードウェアエンジニアには、回路設計や基板設計などの高い専門性が求められます。実務で活かせる資格を積極的に取得すれば、技術者としての信頼度は上がります。
ここではハードウェアエンジニアに必要な資格・スキルについて解説します。
電気主任技術者
電気主任技術者は、電気設備や高電圧回路の保安・管理を行う国家資格です。一般的には、工場やビルなどの大規模電気設備の運用に必要とされる専門知識が身に付きます。
ハードウェアエンジニアがこの資格を取得することで、電気に関する性質・法則や、電気機器や自動制御などの知識を業務に活かすことができます。取得難易度は高めですが、合格すれば社内での評価が上がり、より専門性の高い仕事を任される可能性も広がります。
電気主任技術者には、第三種・第二種・第一種の3つの区分があり、上位になるほど試験の難易度も高くなります。試験合格のためには理論を理解した上で、過去問を繰り返し解くことが効果的です。
工事担任者(電気通信回線の接続工事に必要な国家資格)
工事担任者は、電気通信回路と情報機器を接続する工事に必要な国家資格です。取得することで、工事の監督や指導を行う立場にも就くことができ、専門性の高い資格として評価されています。
ハードウェアエンジニアの中でも、特に通信機器やIoT開発に関わるポジションに有用な資格です。電気関連の知識だけでなくネットワークや情報セキュリティへの理解が深いと、ハードウェアエンジニアとして市場価値が高まります。
工事担任者は第二級アナログ通信、第二級デジタル通信、総合通信などの5種類に分かれていて、それぞれ必要な知識やレベルが異なります。試験対策では、計算問題や暗記が重要なポイントとなります。
エレクトロニクス実務技能検定(民間資格)
エレクトロニクス実務技能検定は、電気・電子系技術者育成協議会が主催する民間資格で、「E検定」とも呼ばれています。
試験では電子回路やデジタル、電磁気、信頼性設計などハードウェアエンジニアの実務に直結する知識が問われます。知識量を測るのみならず、応用力や問題解決能力も評価されるのが特徴です。
エレクトロニクス実務技能検定は、レベル1から3までに分かれており、特にレベル1は学生や入社3年以内の若手技術者を対象としています。新たにハードウェアエンジニアを目指す方にとって、基礎力を身につける良いステップになります。勉強方法には、eラーニング講座の利用をおすすめします。
必要なスキルと基礎知識
ハードウェアエンジニアは資格を取得する以外にも、必要なスキルを意識しておくことが大切です。
例えば回路図の作成やCADツールの操作スキル、はんだ付けなど多種多様なスキルが求められます。手軽な教材を用いて独学したり、実践の機会を設けたりすることが、スキル習得への第一歩となります。
またハードウェアエンジニアとはいえ、IT分野への理解は必要です。ソフトウェアの基本を理解することは、ハードウェア開発に大きく影響します。
ハードウェアエンジニアがITの基礎知識を身に付けるなら、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験が適しています。試験ではプログラミング基礎やアルゴリズム、ネットワーク、セキュリティなど多種多様なIT分野が問われます。
やめとけと言われる理由
ハードウェアエンジニアは、年収が高いだけでなく今後も伸びる分野に携わるため、魅力的な職業といえます。しかし一部の方から「やめとけ」とネガティブな意見が聞かれることもあります。
ここからは、ハードウェアエンジニアについてネガティブな声が出ている理由について詳しく解説します。
開発サイクルが長く成果が見えにくい
ハードウェアエンジニアは開発サイクルが長く、成果が見えにくい仕事です。製品が完成するまでに時間がかかるため、モチベーションの維持が難しく感じることもあるでしょう。
ハードウェアエンジニアは試作・検証・量産などさまざまなプロセスを踏む仕事です。他部署の人とも関わりながら、時間やコストをかけて製品を作っていきます。完成したときの達成感は大きく、自分の手でモノを作り上げた実感を得られるのも、この仕事ならではの魅力です。
外注化や海外委託の進行により、国内での案件が減少傾向にある
ハードウェアエンジニアがやめとけと言われるのは、外注化や海外委託が進み、国内の案件が減少傾向であることが理由です。即戦力となる人材確保が難しくなっているためです。
海外委託が増えているのは、コスト削減や効率化も目的です。したがってハードウェアエンジニアは、委託先とのやり取りが中心になる現場もあります。求人に応募する前に、きちんと仕事内容を確認しておく必要があります。
専門性が高くスキルの汎用性が低い
ハードウェアエンジニアは専門性が高い職種である一方、スキルの汎用性が低いとされることがあります。そのため、業界や職種をまたいだ転職が難しく感じられるケースもあります。
ハードウェアエンジニアには、電子回路や基板設計、半導体、プログラミングなど専門的な技術・知識が求められます。こうしたスキルはハードウェア分野に特化しているため、習得や経験の蓄積には多くの時間がかかります。
とはいえ、ハードウェアエンジニアはハードウェア分野では重宝され、専門性を高めていくと市場価値は大きく向上します。さらにマネジメント職やシステム設計など、関連分野へのキャリア展開も可能です。
労働時間が長くなりがち
ハードウェアエンジニアの仕事は、納期が厳しく設定されていることが多く、トラブルが発生すると残業や休日出勤が必要になるケースがあります。そのため、労働時間が長くなりがちだと感じる人も少なくありません。特に量産直前に不具合が見つかった場合は、原因の特定や修正に時間がかかることがあり、対応に追われることもあります。
とはいえ近年は働き方改革の推進によって、残業時間の削減に取り組む企業が増加しています。企業選びの際は、労働時間や働き方の柔軟性についても事前に確認しておくと安心です。
それでもハードウェアエンジニアを目指す理由と魅力
ここまでハードウェアエンジニアはやめとけという声を紹介してきました。ハードウェアエンジニアに対するネガティブな声があっても、それでも新たに目指す人がいるのは、魅力ややりがいが大きい証拠です。どういった点に魅力を感じているのでしょうか。
ここからは、ハードウェアエンジニアを目指す理由・メリットを解説します。
モノづくりの達成感が大きい
ハードウェアエンジニアはモノづくりの達成感が大きく、やりがいのある仕事といえます。自分の手で形ある製品を生み出し、多くの人に届けることができるからです。自分が携わった製品が社会で使われていることを実感すると、大きな喜びを感じられます。
またハードウェアエンジニアの仕事は電子回路の設計から始まり、プリント基板の設計、テスト・検証など多くの工程を経ています。苦労して作り上げたモノが現物として形になるため、完成時の達成感をより感じやすいでしょう。
IoTやロボティクスなどの成長分野での需要が拡大
ハードウェアエンジニアはIoTやロボティクスなどの分野に携わることがメリットです。これらの分野は近年急速に成長していて、今後の成長が期待できるためです。
IoT分野で開発するモノは、冷蔵庫やスピーカーなどのスマート家電、自動運転機能の搭載された自動車などがあります。またロボティクス分野においては、ドローンや飲食店で活躍するロボットなどの開発にも携わります。ハードウェアエンジニアの専門的な技術は、これらの最新製品を製造する際に欠かせません。
ハードとソフトの融合スキルが重宝される
ハードウェアエンジニアは、ハードウェアとソフトウェアの両方のスキルを活かせる職x業です。両方の知識を持っていることで、企業での評価が上がる、転職に役立つなどのメリットが得られます。
製品の機能を作り上げるには、ハードウェアエンジニアの設計だけでなく、組み込みエンジニアやシステムエンジニアとの連携が必要となります。そのため、ハードウェアエンジニアがソフトウェアの知識も持っていると、チーム内でのコミュニケーションがスムーズになったり、設計の不具合を未然に防げたりします。
高年収や専門性を評価する企業も多い
ハードウェアエンジニアは、専門性が評価される市場価値の高い職業です。ハードウェアに関する知識や技術は代替が難しく、経験を積むことで企業からの信頼も厚くなります。
中堅レベルになると担当範囲が広くなり、後輩の育成やチームの調整を任されます。さらにキャリアを積めば、リーダーやプロジェクトマネージャーとして活躍し、高年収を得ることが可能です。
ハードウェアエンジニアは専門性と経験の高さが、キャリア・待遇につながる職業といえるでしょう。
ハードウェアエンジニア 求人市場の現状
ハードウェアエンジニアの求人市場は、安定した需要が続いています。特にIoT分野の2023年の実績は6兆4672億円で、2028年には9兆4818億円にまで拡大すると予想されています。市場規模は年々拡大するため、求人数の増加にも期待できます。
参考:IoTの用途はより高度に、国内市場は2028年に9兆4818億円にまで拡大へ|MONOistハードウェアエンジニアはハードウェアに関する専門知識の他に、英語力を求める企業が増えています。英語力が高いと、高年収や重要なポジションを得られる可能性が高まります。市場の需要が高い時期だからこそ、さらなるキャリアアップを目指すために、英語力の習得が重要です。
ハードウェアエンジニア 将来性と業界動向
ハードウェアエンジニアは、IoTやAI、自動運転技術などの発展に伴い、今後益々需要が高まる職業といえます。例えばIoT分野では、スマート家電の普及が進んでいて、開発に携わるハードウェアエンジニアの需要は高まっていくと見られています。
また、AI分野に関わるロボット開発や自動運転技術の活用などにも、ハードウェアエンジニアの存在は必要とされています。デジタル化の加速と共に、ハードウェアエンジニアの役割は重要となっていくでしょう。
新技術がもたらす新たな機会
新技術の進化により、ハードウェアエンジニアの新たなキャリアの機会は広がっています。たとえば、5Gの普及によって通信インフラや端末の性能が向上し、それに対応するハードウェアの設計・開発が求められています。
また量子力学の原理を応用した「量子コンピューティング」の発展により、新たな設計・開発が求められています。こうした最先端技術に関わることで、貴重な経験を積むことができます。
こういった技術革新に対応するスキルを身に付ければ、次世代のプロジェクトで活躍できる可能性が高まります。
ハードウェアエンジニア 転職成功の秘訣
未経験からハードウェアエンジニアを目指すのは簡単ではありませんが、段階的に準備を進めれば転職を成功させることが可能です。
ここからは、ハードウェアエンジニアの転職を成功させる秘訣について紹介していきます。
未経験者がハードウェアエンジニアになるためのロードマップ
ハードウェアエンジニアに関する基礎知識を学ぶためには、資格取得を目指すのがひとつの手です。
本記事で紹介したITの登竜門的資格「基本情報技術者試験」からはじめ、電気に関する専門知識が問われる「電気主任技術者」「エレクトロニクス実務技能検定」などの資格取得を検討してみましょう。
知識習得だけでなく、設計ツールを用いて回路設計の経験を積むことも重要です。実践力の証明になります。
スクールや職業訓練で学ぶと、効率良く転職に進める可能性が高まります。カリキュラムや講師のサポートが整っているためです。特に未経験の場合、プロの力を頼ると正しい道筋に沿って学習が進められるでしょう。
大学からハードウェアエンジニアになるためのロードマップ
ハードウェアエンジニアを目指すには、大学で専門的な知識を身につけるのが一般的なルートです。ハードウェアに関する学びは、理工学部や工学部の機械工学科、電気電子工学科、情報工学科などで得ることができます。
まずは大学の講義で電気電子工学や情報工学の基礎を学び、回路設計などの実践的なスキルを身につけましょう。研究室を選ぶ際は、電子回路や組み込みシステムを専門とする研究室を選ぶことで、より高度な知識を習得できます。これは就職活動時のアピールにもつながります。
また、大学によっては企業との連携や就職支援制度が整っている場合もあり、卒業後の進路がスムーズに決まりやすいのもメリットです。
未経験からの転職戦略
未経験からハードウェアエンジニアへの転職に向けて、まずは学習した内容をポートフォリオにまとめる必要があります。電子回路や基板設計の基本を独学し、有料講座なども活用しましょう。ポートフォリオには実際に制作したものを掲載し、面接で熱意を伝えることが大切です。
求人を探す際は、未経験歓迎の仕事を見つけることがポイントです。ハードウェアエンジニアの未経験求人が少ない場合は、まずは製造や品質管理、ITエンジニアといった関連する職業に就き、キャリアチェンジする方法もあります。
ハードウェアエンジニアとしてのキャリアを築こう
未経験からハードウェアエンジニアを目指すには、まず電子回路や基板設計などの基礎知識を身につけることが重要です。その後、設計ツールを使った実践的な学習を通じて、スキルを磨いていきましょう。学んだ内容や制作物はポートフォリオとしてまとめることで、転職活動時の強力なアピール材料になります。
ハードウェアエンジニアは専門性が高く、未経験からの挑戦には一定のハードルがあります。しかし、高い年収や将来性のある分野であることから、挑戦する価値は十分にあります。新たなキャリアの選択肢として、ぜひ検討してみてください。
エンジニア派遣に特化した「BREXA Technology」では、未経験者向けの社内技術研修を充実させています。電気系の研修も整っており、ハードウェアエンジニアを目指す方にとって理想的な環境です。カジュアル面談も随時実施していますので、まずはお気軽にご相談ください。